第10話

看護師がすぐに駆けつけ、葵の手の甲にできた水疱を見るなり眉をひそめた。

「どうしてこんな酷い火傷を……」

そう言いながら、看護師は消毒液とガーゼ、それに火傷用の軟膏を用意した。

手際よく手の甲を消毒し、水疱の水を抜いてから軟膏を塗り、最後にガーゼをしっかりと巻いていく。

葵は分厚く包帯を巻かれた自分の手をじっと見つめ、しばらくの間、無言のままだった。

翌日の午後、葵は退院手続きを済ませた。

藤原家の別荘に戻ると、リビングはひっそりと静まり返っていた。昨夜和也が出て行ってから、一度も帰宅していないのだろう。

二階へ上がり、クローゼットを開ける。黒い長袖のベルベットドレスを選んだ。...

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